暗くなった真夜中の街中には明かりなどは一つもなくあるのは心細い光りを虚しく放っている月だけだった………
今日の仕事をし終わって家に帰る途中である。
一人暮しが長い俺だけど流石にこうも静かだと寂しさというものを覚える。
『やっ……やめてくれ!おっ俺には帰る場所も待ってる人もいるんだ!!』
今日のターゲットが最後に言った言葉が頭に響く―――
今回のターゲットは自分の欲を満たすため、人を殺した、典型的な殺人者だった。
くだらない。そんなので許されるくらいならこの世に死刑囚なんていない――――
でも、こんなにも悲しい夜だからこそ、思うのだ。
「待ってる人、帰る場所か―――」
そんなものは過去にもう無くなった。
俺は気付いたら一人で生きていた。必要ない。
でも、こんな虚しい月に照らされてると、人肌が恋しい。
誰かに、触れたい、触れられたい。
家の扉を開ければ待ってましたとばかりにカイツが出迎えて"お帰り"という。
今はこんなにもみじかに人がいる。
カイツを見た瞬間、俺は抱き着いた。
カイツは一瞬なんだ?とばかりにフリーズして、その後すぐに俺の背中に腕を回して
「お帰り」
と言った。そしてカイツの腕の中に溺れながら
「ただいま」
と言った。
――待つ人のいる幸せ――
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本当はキスもあったのですがこのほうが自然かな?
と思い修正。
簡単に言えば待つ人がいるって幸せだね。という話。