「月が綺麗だ・・・」

男は窓から月を見上げながらワインを片手にイスに座っている

周りに音なんてものはなく鳥の鳴き声さえも聞こえない

ただ・・・そこにあるのは静寂のみ・・・・・・

それでもそんなことはどうでもいいのだ。

「君はどこにいる?---------」

大切なのは君を見つけること。

僕は今まで待っていた。

ただひそっりと君のことを、大切な君の事を------

だからこれからは僕が君を迎えに行く。

-----------君の意思なんて関係ない。







------------------------------------------------------------------


「だから、静かにしてくださいって!」

男はバーの店のカウンターの向こうでその前の席に座っている

10歳くらいの少女から必死に逃げいようとしている。

だが、その男の腕もしっかりとつかまれてしまっている。

「あなたの声が一番大きいわよ・・・」

声の大きさを少し落としながらも腕を放すことなく

少女は男を引き止める。

「今、もしあなたが行ったところで意味はないと私は思うけど?」

あぁ・・・どうしてこんなことになったのだろう・・・

俺は、君が、こんなにも・・・・・・好きなのに。



歯車はどこからずれた?









いや、はじめからずれていたんだ・・・




俺と君は。











------------------------------------------------------------------



結局は裏切ることになった。

一番悪いのは自分。

そんなことは分かってる。

でも、俺は卑怯だからそんなことをわかっていても

自分を守ることが最優先なんだ。

「いつか・・・・・・」

最後に言ったのはそんな言葉だった気がする

結局俺は最後まで素直なんかじゃなかった。

その言葉をきっとあいつは今でも信じているだろう

でも・・・

俺は裏切ったから

100%そうだとは言い切れないから

最初の一歩が踏み出せないんだ。

だから

「ごめん・・・」

俺はただ君を信じるだけ、君に会いたいと思うだけ

結局は臆病な自分に嫌気がするだけ、

狂っているのは自分。

だから・・・・・・

「もう、会えない------------」















狂っているのは誰で、歯車がずれたのはいつからか




きっと誰にも分からない。





それでも過去を変えたいと思う。







いつを?








変えたい?









どこから?









納得しない今に誰もがそう思う。